野生動物の静態

◆ハクビシン


ネコ目ジャコウネコ科に分類されている。

日本では昭和20 年代初頭に四国、静岡県、 山梨県、福島県にまばらに分布していたもの が、徐々に分布域を拡大し、
現在では南東北 から中部、四国で分布が集中している。
分布情報と捕獲情報より、現在のハクビシンの 分布状況をみると、大阪府、鳥取県、大分県、 沖縄県を除く43都道府県に分布し、
ほぼ全国 的に生息している。
ハクビシンの被害は、主に農作物に対する被害 と生活環境被害である。
農作物では特に果実に対する被害が多く、 モモ、ぶどう、サクランボ、ナシ、ミカン、カキ、 リンゴなどである。この他ではトウモロコシ、 メロン、スイカ、イチゴ、トマト、ジャガイモ、サツ マイモなどに被害が発生している。


◆アライグマ


タヌキと非常によく似ていますが、アライグマ特有の 眉間や尾の縞、5本指の足跡などで、その違いを見 分けることができます。
また、頭胴長40~60cm、尾長20~40cm、体重6~ 7kgで、水辺の森林地帯を好みますが、農耕地や市 街地まで多様な環境に生息します。
北海道、関東、東海、近畿地方を中心に、連続的な 分布が確認されている。
アライグマは都市部での家屋への侵入など、生活環 境等被害も頻繁に生じさせている。
人家の屋根裏に侵入してねぐらとしたり、出産、子 育ての場所に利用することもある。
屋根裏での糞尿汚染、悪臭、鳴き声の被害のか、 壁や柱に爪跡を付けたり、時には破壊することもあ る。


◆イノシシ


イノシシ被害
分布:本種はユーラシア大陸に広く分布し、日本では本州以南から南西諸島に生息する。 南西諸島に生息するものはリュウキュウイノシシと呼ばれ、亜種とされる。 東北等の多雪地域には生息していないが、近年ではこうした地域にも分布が拡大している。
環境省生物多様性センターの調査によると、昭和53 年(1978)にはイノシシの生息が確認されなかった 関東、東北、北陸等の地域において、平成15年(2003)に実施された調査で新たに生存が確認されてお り、東日本への分布の拡大が見られる。
形態:成獣は頭胴長1m、体重50~60kgだが、一般にオスはメスより大型で、100kgを越す個体もいる。 満1歳で繁殖し、出産仔数は2~8頭であるが、平均寿命は2~3 年である。
生態と行動:基本的に単独性で、母親は当歳の仔さらには前年の仔を伴って行動する。 群れを作る動物と誤解されるが、これは多産であることから母親が仔を伴っていると群れのように見えるた めである。
食性は雑食であるが、主な餌は植物質で占められる。 野生下における行動に関する研究はまだ少ないため、不明な点が多い。行動圏の面積に関しては、滋賀 県北部における調査から、竹村ら(2004)が最外郭法で約8ha から231ha と報告している。 また、房総のシカ調査会(2002)は、行動調査を3 頭について行い、それぞれの個体の行動圏面積はオス 成獣が371.2ha、オス幼獣が80.3ha 及び894.9ha だった。さらに前年度の調査結果を含めると平均値は 443.9ha であるとしている。


◆ニホンシカ


シカ被害
分布:ニホンジカは、中国などの東アジアに分布し、日本では北海道、本州、四国、九州、及び対馬や屋久 島などに生息する。
多雪地域では分布が制限されるが、季節移動により高山帯に生息することもある。 環境省生物多様性センターの調査によると、昭和53 年(1978)にはシカの生息が確認されなかった東北、 北陸等の地域において、平成15年(2003)に実施された調査で新たに生息が確認されており、全国的に 分布が拡大する傾向にある。
形態:オスでは、1歳以上の個体で角を有するが毎年春に落角する。 本州におけるシカの頭胴長は120~160cm、体重はメスで40~50kg、オスでは80kgになる。
生態と行動:食性は草食性で、1日で5kg程度の餌を摂取する。 繁殖は1~2歳で開始し、春に出産するが、産仔数は1 頭である。 秋の交尾期には、オス同士が闘争をして、数頭から10数頭のメスによるハーレムを形成する。 かつては大規模な季節移動をしていたと考えられているが、生息域が分断され、定着性が強い個体もいる。 房総のシカ調査会(2004)によると、行動圏の年平均面積は、メスで64.4ha、オスで95.8ha で、ほとんどの 個体は年間を通して一定地域に定住している


◆ニホンザル


サル被害
分布:ニホンザルは日本の固有種で本州、四国、九州とその周辺の島に生息する。 北限は青森県下北半島、南限は鹿児島県屋久島である。
森林の樹木に依存して生活し、海岸沿いの照葉樹林から山地帯の落葉樹林までが生息域の中心である が、中部地方の山岳地帯では夏季に3000m付近の高山帯ハイマツ林までを行動域にする群れもある。 環境省生物多様性センターの調査によると、昭和53 年(1978)には、ニホンザルの生息が確認されなかっ た多くの地域において、平成15 年(2003)に実施された調査では新たに生息が確認されており、全国的に 分布が拡出典:哺乳類分布調査報告書(平成16年3月環境省生物多様性センター)大してきている。
形態:温暖な照葉樹林帯のサルは一般的に小型であるのに対して、寒冷地の落葉樹林帯のサルは大型 である。 オスはメスより大きい。 オスは、頭胴長53~60 ㎝、体重10~18 ㎏。メスは頭胴長47~55 ㎝、体重8~16㎏。
生態と行動:ニホンザルは10 数頭~100 頭程度の群れを単位として生活している。 オスは成体になるまでに生まれた群れを離脱して単独生活(ハナレザル)の後、別の群れに加入して群れ のメンバーとして生活する。 その後群れの離脱と新たな群れへの加入を繰り返す生活を続ける。この過程で、100kmを超える長距離移 動をするオスもいる。一方、メスは一生を生まれた群れで生活する。 群れの行動域面積は群れの個体数や生息環境で大きく異なり、一般的に個体数の大きな群れほど、また 照葉樹林より落葉樹林に生息する群れほど大きな面積を必要とするが、サル群れの行動には群れ毎の変 異が大きい。
一例として、富山県宇奈月温泉周辺の群れの、60個体程度の2群の行動域を比較すると、夏季に山岳 地帯に移動する群れ(尾沼谷群)では年間の行動域は、長径11 ㎞、面積11.7k㎡であるのに対して、年中 黒部川の本流周辺に滞在する群れ(モモコ群)では長径3 ㎞、面積3.3k㎡であった。 群れは、ほぼ固定した行動域内を毎日移動しながら生活するが、1日の移動距離は季節変動が大きく、 積雪地帯の群れでは冬季は500m以内であることが多いが、夏季は数㎞に達することもある。